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Lee-Byung-hun addicted

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『釜山より愛を込めて』

「釜山より愛を込めて」第一話


「ずいぶん、ごゆっくりだったねぇ~」

ハギュンはロビーで楽しげに帰ってきた二人を迎えた。

「揺ちゃん、いいところ案内してもらった?」

「観てきたよ。
『拍手する時に去れ。』面白かった~~。

いやぁ~取調室のあのシーン最高だった。

チャさんも良かったね~。

いや、ストーリーの展開もね・・・」

永遠にしゃべり続けそうな勢いの揺を見ながら、

ビョンホンとハギュンは目を見合わせて笑った。

「何か可笑しい?」

目を真ん丸くする揺に

「いやっ、こういう人ばっかりだと俺達も仕事のし甲斐があるなと思って。

なっ、ビョンホン」

「ホント、ホント。

そこまで細かく観てくれると凝って撮った甲斐があるよな。」

真顔っぽく答える二人。

「何だか、そう言ってもらうと観るほうもうれしいです」

そういうと揺は恥ずかしそうに笑った。

「ぷっ」と噴出す二人。

「で、お二人さん、今日はどうするの?

予定だと慶州のジェヨンのところに行くんじゃなかったっけ?」

「そのつもりだったんだけど、

ビョンホンssiがバスに乗ると吐きそうだっていうから、

移動は明日にしたの。」

と揺が答えた。

「へぇ~吐きそうなんだ・・・」

ビョンホンを眺めるハギュン。

ビョンホンは目をそらしながら

「何だかだいぶ楽になったなぁ」

そういって大きく伸びをした。

「そんなことだろうと思った。

夕べは飲ませすぎちゃったからな。

反省の気持ちと友情の証として、

ホテル予約しておいたから。

今日はゆっくり二人でくつろいで来いよ。」

「さすが、ハギュン最高に気が効く友よっ!」

そういうとビョンホンはハギュンに抱きついた。

「はいはい。良かったね。

じゃ、俺はこれから極寒の中で撮影だから。またな。」

そういうとハギュンは後ろを振り向くことなく、

手を振りながら出かけていった。

「じゃあ、もう一回現場に寄って挨拶してから帰ろうか。」

ビョンホンは元気にそういった。




パラダイスプサンホテル。

ここにはつい最近ビョンホンは来たことがあった。

先日の釜山映画祭のとき日本の俳優の妻夫木聡と対談をしたホテルだった。

釜山のリゾートホテルとしてはハイランクのホテルで、カジノも併設されている。

ハギュンが取ってくれたのはルビースウィート。

海の見えるシックでなかなか素敵な部屋だった。

「わぁ~。いい部屋じゃ~ん」

ビョンホンと揺は並んでベッドの上にすわり、

お尻で飛び跳ねながら窓からの夜景を見ていた。

「何だか、ハギュンssiに悪いなぁ。

私たちだけこんないい思いしちゃって。」

「いやっ、ご好意はありがたく受けていいと思うよ」

と頷くビョンホン。

「そうね。じゃ、思いっきり楽しもうっかぁ!」

揺はそういうとベッドにダイビングした。

横になった揺を見て寄り添うように横になったビョンホン。

手を伸ばそうとしたその時、

「ねえ、お腹すかない?」

揺はドサッと勢いよく起き上がり、

ビョンホンの手は無残に払いのけられた。

「どうかした?」と揺。

「いや。別に」

何事も無かったかのように振舞うビョンホン。

(こいつ、わざとやってるんじゃないかぁ)

(へへへ・・30過ぎの男と女はやっぱ駆け引きよね。)

微笑みあう二人。

「でも、この格好じゃ、いくらリゾートホテルでもさすがにディナーはねぇ・・」

自分の格好を見て揺が残念そうに言った。

「そうだろうと思ってね。そろそろ来る頃かな。」

ビョンホンは腕時計を見た。

「ピンポーン」

「ほ~ら、来た」

そういうとビョンホンは部屋の入り口に向かった。

「ご苦労様」

ビョンホンはベルボーイから大きな箱二つと小さな箱を二つ受け取った。

「何?これ」

「開けてごらん」

そう言われて深紅のリボンのかかった大きな箱を開けた揺は息を飲んだ。

「わ~っ、素敵なドレス」

小さい箱にはドレスに合った黒のベルベットのヒールが入っていた。

「いつの間に用意したの?」

驚いて尋ねる揺に

「実は僕、魔法使いなんだ。」

と真顔で答えるビョンホン。

「うっそぉ~」と揺。

「うそだよ。」

とビョンホン。

「企業秘密だから教えらんないなぁ~」

「サイズだってよくわかったね。」

ドレスと靴を眺めながら揺が言った。

「僕を誰だと思ってるの?

一回抱きしめるだけで女性の身体のサイズはお見通しさっ」

「ヒューヒュー。カッコいいねぇ~~。

でも、ちょっとスケベっぽいね。その発言」

「そうかな。」

「そうよ。」

そういうと二人は顔を見合わせて笑った。

「美容院も6時に予約しておいたから行っておいで。

ディナーは7時だ。僕はここで待ってるから。」

とビョンホン。

「わかった。ありがとう。

じゃ、シンデレラに変身して来ますか。

楽しみに待っててね。」

そういって揺はふいにビョンホンの頬に軽くキスをすると、

ドレスと靴を持って足早に部屋から出て行った。




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